2.地理

県庁所在地

県庁所在地は豊原市。

地図

左図凡例

◎:市、○:町、●:村

紫太線:JR鉄道路線、紫細線:JRバス路線、緑太線:私鉄鉄道路線、緑細線:民営バス路線

右図凡例

紫太線:JR線、青太線:南樺鉄道線、茶太線:帝国燃料興業鉄道線、橙太線:豊原市営地下鉄東西線、紫細線:JRバス、青細線:南樺鉄道バス路線

豊原市中部
豊原市中部

豊原支庁

県庁所在地であり政令指定都市である豊原市に支庁を置く。県内でも中心的役割を担う地域であり、県都で空港もある豊原市のほか、稚泊連絡船が発着する大泊市、帝国燃料興業の人造石油工場がある落合市など、主要な都市がこの支庁内に集まっている。

市郡名 区町村名 中心駅 人口
■豊原市 中央区(←旧豊原市東部) 豊原 200,000
豊北区(←旧豊北市+川上村) 小沼 300,000
軍川区(←旧豊原市西部) 軍川(地下鉄) 150,000
豊南区(←旧豊原市南部) 豊南 150,000
人口80万人。平成4年[4]に豊北市、川上村を編入して政令指定都市に移行した。名実ともに県の中心地。札幌のような計画都市だが、条と丁目の方角は札幌と逆で、東西が条、南北が丁目。
大泊市 (=大泊市+千歳町+深海町) 大泊 174,221[5]
稚泊連絡船の発着する港町。かつて樺太庁が置かれていたこともあり、新興勢力の豊原市をライバル視している。が、今はもう勝ち目はなかろう。
大泊郡 長浜町 長浜(南樺バス) 10,000
地邊讃湖や和愛湖などの湖沼が連なる町。でも観光資源にするにはいまいち派手さがないし、かといって大泊市のベッドタウンにするにも遠すぎるしと、何かと中途半端なところ。
遠淵町 遠淵(南樺バス) 5,000
長浜町との間に遠淵湖がある。先述の長浜町より大泊市から遠く、だいぶ過疎化が進んでいる。南樺バスの半分は弥満まで行かず、ここ遠淵で折り返す。
知床村 弥満(南樺バス) 3,000
南、中、北の三知床の一つ、中知床がある。北知床がある散江村と、世界遺産に指定された南知床がある斜里町・羅臼町と姉妹都市である。中知床以外はなにもない過疎地。
富内町 富内(JRバス) 15,000
富内湖をうまくPRして観光地になっている。豊原市から国道で1本で、この地理的な近さも成功の秘訣であると思われる。また、競艇場もあり、財政は豊か。
留多加市 (=留多加市+三郷町) 留多加(南樺鉄道) 50,000
本斗に抜ける高速道路と、国道508号、515号が通る交通の要衝。
本来、読みは「るうたか」であったが、「留」は「る」であって「るう」とは読まないので、慣用的に「るたか」と呼ばれてきた。平成の大合併で三郷町と合併する際、編入合併のイメージを避ける意味もかねて、正式に「るたか」になった。
留多加郡 能登呂村 雨龍浜(南樺バス) 4,000
何もない寒村。計画中の宗谷海峡線がこの村を通ることになっており、村民は開通を心待ちにしている。
落合市 落合 89,463[6]
おもに工業の町である。だが、細かく見ると、南部は豊原市のベッドタウン、中部、西部は帝国燃料興業の企業城下町、北部は落合市の中心部と、いろどり豊か。
豊栄郡 栄浜村 栄浜 5,000
主に漁業の村。南部の栄浜駅などはまだ豊原市への利便性が比較的良いほうだが、北部になるともう絶望的である。
白縫村 白浦 5,000
特急の停まる白浦と、真久地峡東端の真縫の二大集落からなる。村名はそれらから一文字ずつとったものだと思われる。村自体は特記事項のない平凡な田舎町。

真岡支庁

豊原支庁と山脈を隔てて西側にあり、気候は比較的温暖である。真岡市に支庁を置く。豊原支庁の大泊港が凍結する冬でも、真岡支庁の本斗港は凍結せず、日本最北の不凍港として大いににぎわっている。

市郡名 区町村名 中心駅 人口
■真岡市 (=真岡市+広地町+蘭泊町) 真岡 135,000
真岡支庁が置かれる中心地。海岸付近の傾斜に合わせて市街地が2段になっているのが特徴。
本斗市 (=本斗市+海馬村) 本斗 70,000
西海岸の港町。冬でも凍らない唯一の港があることや、高速道路で豊原まで直接行けることなどから、物流の拠点になっている。
本斗郡 内幌町 内幌(南炭バス) 10,000
かつては炭鉱で栄えたが、閉山し、内陸には限界集落も見られる。一方海岸付近の集落は、本斗とのつながりが深く、比較的にぎやか。
好仁村 南名好(南炭バス) 3,000
内幌のさらに南側に位置する。特にこれといった産業や観光資源もなく、典型的な田舎町である。
真岡郡 清水町 逢坂 10,000
豊原と真岡の中間に位置し、人口の割には交通が便利。ただ、豊原側に行くには峠越えが必要で、ベッドタウンにはなっていない。
小能登呂村 下能登呂 3,000
何もない貧乏村。
野田町 野田 10,000
製紙業がとくに盛ん。隣の泊居町とともに支庁北部の中心地を形成する。財政は比較的豊か。
泊居郡 泊居町 泊居 15,000
支庁北部では最も栄えており、中心地高砂町には、このあたりでは珍しいビルも建っている。その高砂町の裏手、通称「高砂裏」は歓楽街。
名寄村 樺太名寄 3,000
何もない。北海道の名寄市とは違い、「なより」と読む。
久春内村 久春内 5,000
人口こそ少ないが、樺太西線と真久線が合流する交通の要衝。村自体はよくある金のなさそうな村。

敷香支庁

唯一の市である敷香市に支庁を置く。多来加湖は日本第3位の広さで、秋田県の八郎潟が干拓されてからは、第2位になった。その多来加湖は独特の赤褐色の水を湛えている。また、国境付近には米軍基地や自衛隊基地が建ち並ぶ。

市郡名 区町村名 中心駅 人口
■敷香市 敷香 70,000
県北の中心地。人口こそ7万人で、中心地としては見劣りするが、他に大きな町がないので、周囲の人からは都会に見える。
元泊郡 帆寄村 馬群潭 3,000
ど田舎。県内で一番何もない村。
元泊町 元泊 15,000
製紙業が多少行われている。大小の岩が連なる海岸があるが、観光資源としてはいまいち。
知取町 知取 30,000
製紙業がかなり盛ん。支庁内では敷香市に次ぐ人口を誇る。
敷香郡 泊岸村 泊岸 5,000
何やら怪しげな鉱山があったが、知らぬ間に閉山したようで、現在町内にこれといった施設はない。村名は「とまりけし」と読む。
内路村 内路 5,000
恵須取にぬける内恵道路の起点で交通の要衝だが、単なる通過点でしかない。また、この村内にはシュミット線という植生を語る上で重要な境界線が通っている。これより北は、針葉樹林が広がる。
散江村 能登(敷香バス) 3,000
最強の僻地。三知床の一つ、北知床があるが、それ以外何もないので、広大な土地を完全にもてあましている。
気屯町 気屯 10,000
中心駅の気屯周辺が栄えている。国境付近には米軍、自衛隊の基地があり、ものものしい。また、樺太大学農学部と西野農業の大きな研究所がある。

恵須取支庁

唯一の市である恵須取市に支庁を置く。恵須取市や隣の塔路町などは炭鉱で栄えたが、炭鉱が閉山した現在は炭鉱周辺の人口流出が止まらず、恵須取市は人口が5万人を下回っている。

市郡名 区町村名 中心駅 人口
■恵須取市 恵須取 30,000
かつて、浜市街は港湾都市、山市街は炭鉱の拠点としてにぎわった。しかし、炭鉱が閉山してからは、山市街の衰退が著しく、寂れきっている。そのため、山市街にある上恵須取駅は、駅前こそ建物が多いように見えるものの、その裏はシャッター街になっている。
恵須取郡 珍内町 珍内 10,000
来知志湖がある。特急が停まるが、そこまで栄えていない。鉄道線が珍恵峠を通る山まわりの路線なので、海岸の国道に沿うバスの拠点になっている。
鵜城村 鵜城(恵須取バス) 5,000
恵須取が衰退してからは、連鎖的にこの村の財政も逼迫している。鉄道は通っていない。先述の海岸まわりのバスが唯一の交通機関である。
塔路町 塔路(恵須取バス) 5,000
昔からほぼ炭鉱だけで勝負してきた町なので、今は見るも無残な様相を呈している。
名好郡 名好町 名好(恵須取バス) 5,000
隣町、塔路町の衰退につられて、こちらも財政が逼迫している。
西柵丹村 西柵丹(恵須取バス) 3,000
国境があるので、基地を構える米軍から安定した収入がある。もしかしたら支庁内で一番財政が安定している自治体かもしれない。

県内の代名詞的地名

  • 神社通 豊原市の繁華街、官庁街。名実ともに豊原市、樺太県の中心地。
  • 西条(にしじょう) 豊原市の歓楽街。「西条」を「にしじょう」と読んだら豊原市民。
  • 北豊原 豊原市都心北の労働者街。工場が建ち並び、日雇いの仕事が集まる。
  • 南豊原 豊原市都心南のコリアンタウン。
  • 大沢 豊原空港があり、小牧、伊丹のように空港の代名詞になっている。
  • 鈴谷 豊原市西部。運転免許試験場がある。
  • 富内 大泊郡富内町。競艇場がある。

豊原市の通りの通称

  • 西四条通 電車通
  • 東六条通 旭平通
  • 北5丁目通 玉川通
  • 南6丁目通 学校通

穀倉地帯「亜庭湿原」

西野農業を中心とする組織により、後で記す樺太米「恒山背」で、豊原市南部にある亜庭湿原が大穀倉地帯に変貌した。亜庭湿原は、豊原市を貫流する鈴谷川の最も下流に位置し、都市の汚水がそのまま田んぼに流れ込んでしまうため、穀倉地帯のエリアの上流に、高度処理機能を持った終末処理場を設置し、汚水をきれいにする。

敷香の平原

おもに樺太大学農学部と西野農業の手によって、多来加湖北岸や幌内川流域などの平原は、遺伝子組み換え作物などが育てられている大農園に生まれ変わった。

・たちまちビールの大麦畑

たちまちビールの大麦はほぼここで栽培されている。この平原では珍しく、遺伝子組み換えではない。

・日本甜菜製糖の甜菜畑

東京に本社を置く日本甜菜製糖だが、北海道と樺太が生産の二大拠点だ。敷香の平原で栽培された甜菜は、敷香市内にある工場で砂糖に加工され、全国各地に運ばれる。

・西野農業の小麦および大豆畑

これらはどちらも遺伝子組み換え食品。西野直営の食品加工工場で商品に加工される。

・チューリップ畑

敷香の1月の平均気温は-18.2℃と極寒。チューリップは-39.9℃以上なら生きられるそうだ。国境の町気屯町は可憐なチューリップの花によって彩られている。

気候

ケッペンの気候区分では、県全域がDf(亜寒帯湿潤気候)に属する。
また、敷香支庁の内路町には、シュミット線という植生を語る上で大事な境界があり、この線以北の森林には針葉樹林しか生えていない。