ポケモンの正体とモンスターボールの構造

ポケモンはデータか

 首藤剛志氏の小説には、「ポケモンはデータである」と書いてある。確かに、ポケモンがデータならば、モンスターボールで捕獲したとき、あんなに小さな入れ物に入れるのも理解できる。

 しかし、捕獲したポケモンのデータを取得した後、そのポケモンの体を構成していた原子はどこへ行くのか。

 また、この矛盾を解消するために、「ポケモンは完全にバーチャルであり、我々にはポケモンがいるように見えるだけだ」と仮定しても、問題は解決しない。体当たりでダメージを与えるにはポケモン自体に質量が必要であるし、ポケモンがバーチャルならば、木の実やポロックは食べられない。

 さらに、仮にポケモンがポケモンセンター間をデータでやりとりされているとすると、ロケット団の活動自体にも疑問が生じる。通信がポケモンセンター間のパソコン同士でなされ、受け取り先でポケモンを復元する技術が存在するのだから、ロケット団は、ハッカーを育成して通信のネットワークに侵入し、強いポケモンのデータを読み取ってしまえば、簡単にポケモンのクローンを作ることができる。何も武力を行使してまでポケモンを奪う必要はないのだ。

 このように矛盾が生じるのは、「ポケモンはデータではない」からである。ポケモンは他の生物と同様、いつでも質量をもつ存在なのである。

モンスターボールの構造

 前節「■ポケモンはデータか」より、モンスターボールが大容量記憶装置でないことが明らかになった。ポケモンがいつも質量をもつ生物であるという前提で考えれば、ポケモンをモンスターボールに入れる方法はやはり圧力をかけることくらいしかないだろう。セレビィの映画では、若かりし頃のオーキド少年が、圧力を抜いて旧式のモンスターボールを開けているような描写があるし、モンスターボールは加圧装置であることとする。

ポケモンの定義

 ポケモンを、「モンスターボールの圧力に耐える生物」と定義する。

ポケモンの先祖*

 「なぜポケモンが圧力に耐えられるのか」と、「なぜポケモンは日本と北米に生息しているのか」の両方を考えたときに、私は、「ポケモンの先祖はマンモスに寄生する生物で、姿はアメーバのようなものだった」のではないかとの仮説を立てた。以下にその仮説を記す。

 まず、このアメーバのような生物(以下、プレメタモンと呼ぶ)は、マンモスに踏まれても簡単に死んだりしないために、圧力に耐えられる強さを獲得した。

 次に、プレメタモンはマンモスに乗り、当時陸続きだったベーリング海峡を通ってアジアから北米にも渡った。

 その後、各地でプレメタモンは収斂進化*を起こし、様々な生物へと姿を変えていった。虫と同じ立場で生きたものは虫ポケモンに、魚と同じ立場で生きたものは水ポケモンに、そしてアメーバと同じ立場で生きたものは、アメーバのようなポケモン、メタモンになった。

ポケモンの先祖 ポケモン図鑑に、ミュウは「あらゆる わざを つかうため ポケモンの せんぞと かんがえる がくしゃが たくさん いる。(出典:ダイヤモンド)」、アルセウスは「1000ぼんの うでで うちゅうを つくった ポケモンとして しんわに えがかれている。(出典:ダイヤモンド)」と書かれている。ダイヤモンドに限らず、ミュウの遺伝子や先祖説に言及した図鑑には、いずれも「という」、「ではないか」、「と考える学者がたくさんいる」という表現がみられる。これはつまり、ミュウが全てのポケモンの先祖かどうかはまだわからないということである。また、アルセウスも同様で、アルセウスの創世神説に言及した全ての図鑑には、いずれも「神話」、「とされている」といった文言が並ぶ。これは、アルセウス創世神説が、シンオウ地方の神話にすぎないことを示している。したがって、ポケモンの先祖がミュウでもアルセウスでもなくても何ら不思議はない。(参照:ミュウ-ポケモンWiki)(参照:アルセウス-ポケモンWiki)

収斂進化 系統が違う生物でも、同じ生態的地位についたときに外見が似通ってくる現象。イルカ(哺乳類)とサメ(魚類)など。(参照:収斂進化-Wikipedia) 

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