大学入試風問題安置所 

8(易) 解答

 アミノ酸のうち、同一炭素原子にアミノ基とカルボキシル基が両方結合しているものを特にα-アミノ酸という。表1はそのうちいくつかの例である。このα-アミノ酸同士が、互いのアミノ基とカルボキシル基の間で脱水縮合すると、ペプチドが生じる。なお、鎖状ペプチドにおいて、未反応のアミノ基のある側をN末端、未反応のカルボキシル基のある側をC末端と呼ぶ。

名称 略号 側鎖  分子量
アラニン Ala ーCH3 89

アスパラギン酸

Asp ーCH2ーCOOH 133 

システイン

Cys ーCH2ーSH 141

グルタミン酸

Glu ー(CH2)2ーCOOH 147

グリシン

Gly ーH 75

ロイシン

Leu ーCH2ーCH(CH3)2 131

リシン

Lys ー(CH2)4ーNH2 146

フェニルアラニン 

Phe ーCH2ーC6H5 165

トレオニン

Thr ーCH(OH)ーCH3 119

バリン

Val ーCH(CH3)2 117

 表1に記載したα-アミノ酸のうち、6種類を使って作ったヘキサペプチドAがある。この構造を調べるため、以下の実験[1]~[6]を行った。

[1]ペプチドのC末端から順に加水分解していく酵素XをAに作用させると、最初に旋光性のないアミノ酸が生じた。

[2]側鎖にベンゼン環を持つアミノ酸のカルボキシル基側だけを加水分解する酵素YをAに作用させると、分子量487のぺプチドBと、分子量204のペプチドCが生じた。

[3]B、Cそれぞれに、水酸化ナトリウムを加えてから硫酸銅(Ⅱ)水溶液を加えると、Bのみが赤紫色に呈色した。

[4]B、Cそれぞれに、濃硫酸を加えて加熱してから冷却し、アンモニア水を加えると、Bのみが橙色に呈色した。

[5]Aを部分的に加水分解すると全部で3種類のテトラペプチドが生じたが、濃い水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると、2つはアンモニアを生じたが、1つは生じなかった。

[6][5]のあとさらに酢酸鉛(Ⅱ)水溶液を加えると、3つとも黒色沈殿を生じた。

問1 [3]、[4]の反応の名称をそれぞれ書け。

問2 このヘキサペプチドのアミノ酸配列を例に倣って書け。ただし、N末端を左、C末端を右に書くこと。

[例]N末端から順にアラニン、グリシン、バリンで構成されたトリペプチド

  AlaーGlyーVal